材料工学の立場から“人生の質”を向上させる
研究室のご紹介 〡 vol.62 表紙より
若松キャンパス
大学院生命体工学研究科生体機能応用工学専攻
中村 仁准教授
「いつまでも元気に暮らしたい」。誰もがそう願うのではないでしょうか。特に、おいしく食べるのに欠かせない「歯」、自由に歩くのに中国竞彩网な「骨」は健康生活の要といえます。しかし、年齢とともに歯周病や骨粗鬆症により健康的な歯や骨を失う方が多くいらっしゃいます。そこで私たち研究室では、無機イオンの機能を駆使して組織再生を促す生体材料の作製と、その効果について研究しています。もちろん、既に歯や骨の代わりとなる生体材料は存在しますが、現在使われているのは歯や骨の真似をする素材です。例えば、人工骨。成分を同じにしているので体が異物だとみなすことはないものの、あくまでも"真似"をするだけの素材なので、老化によって体の機能が衰えると人工骨はうまく機能しなくなります。そこで次世代の生体材料として着目されたのが無機イオンです。ここでいう無機イオンとは、カルシウムやシリコンといった金属のイオンのこと。微量ながら体の中にあるものなので安心であるうえ、細胞に働きかけて組織再生を促してくれることが証明されています。私たちは骨形成と血管形成を促す4つの無機イオンに着目し、それらを組み合わせたうえで、適切な量や速度を見極めた新しい生体材料を作りだす研究をしています。
生体材料という分野は、医師ではなく、化学者の立場から医学に役立つことができるのが魅力です。さらに、超高齢化社会を迎える近い未来において、人々の生活の質(QOL)の向上にも貢献できると考えています。
About
大学院生命体工学研究科生体機能応用工学専攻
http://www.life.kyutech.ac.jp/
研究者情報
https://hyokadb02.jimu.kyutech.ac.jp/html/100001539_ja.html